彼との距離が近くなる瞬間

何度も……何度も……あのときの光景を思い出す。初めて会う約束をしたその日。決して近くはない距離。でも、その距離が短くなるにつれ高鳴る鼓動と緊張感。いつしか、私の中で 彼の存在が大きくなっていった。そうして 私の想いが溢れるころに 初めて会う約束をした。そんなことを思い出しながら……そして目的の駅へ。電車を降りると とたんにそわそわと落ち着かなくなった待ち合わせの場所までは 歩いて10分もかからないところ。彼が初めて会うのに相応しい 素敵な場所を見つけてくれた。まっすぐ駆け出したい気持ちを抑えながら、少し身なりを整え 心を落ち着かせ、一歩一歩、そこへ向かって歩いた。とあるビルのフロア。彼の説明通り、すんなりと迷わず来れた。平日の午前だからか 行き交う人の数はそれほど多くない。そして 目的のエレベーターのボタンを押す。アが開き、一人乗り込んだ……階層表示がどんどんと変わり あっという間に、目的の階……でも、とても時間が長く感じられた。ドアが開く……そこは都会とは思えない様相…
彼との距離が近くなる瞬間だった。